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ひげ博士のおはなし
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第60回 たくさん使って効くLPSフライトへ!

(2022年9月 No.60より)

皆さん、ひげ博士じゃ。LPS入りクリームを塗ると傷の治りが早いのは経験済みだと思うが、その作用は、LPSがマクロファージに働いて線維芽細胞増殖因子(FGF)や血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を誘導したり、皮膚の創傷治癒に係わる細胞の増殖を促していると考えられておる。ところが、そのようなLPSの働きを”飛べないタンパク質:Flightless I”が阻害しているという、ちょっと変わった話があるので紹介しよう。

飛べないショウジョウバエから発見されたFlightless Iは哺乳類でも似たもの(ホモログ)が見つかっておる。それは筋肉の主要なタンパク質のアクチンを分解する酵素のホモログで、創傷治癒部位に発現しているのじゃ。そして、そのFlightless IはTLR4 (LPS受容体)と似た部位を持っており、LPSと結合して、LPSの作用を抑制し、創傷治癒を邪魔することが出来るそうじゃ(1)。そうすると、まさにLPSの創傷治癒へのフライトを邪魔して飛べなくするタンパク質ということじゃな。また、LPSで刺激したマクロファージから、Flightness Iが分泌されることも報告されておる(2)。

えっ、フライトを邪魔されたら困るって?なに、簡単な対処法はFlightless Iよりも多くのLPSを繰り返し使えばよいのじゃよ。物量作戦でOKじゃな。

(1) Cells. 11: 2192 (2022). “Flightless I Negatively Regulates Macrophage Surface TLR4, Delays Early Inflammation, and Impedes Wound Healing”

(2) J Cell Sci 125: 4288–4296 (2012). "Flightless, secreted through a late endosome/lysosome pathway, binds LPS and dampens cytokine secretion”

出典:特定非営利活動法人自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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