NPO法人自然免疫ネットワーク

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ひげ博士のおはなし

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ひげ博士のおはなし
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第29回 抗生物質の話

(2014年12月 No.29より)

皆さん。ひげ博士じゃ。腸内細菌の働きといえばヨーグルトの乳酸菌など、腸内環境を整えるグラム陽性菌が善玉菌と取り上げられておるが、実は悪玉にされてしまうグラム陰性菌は免疫力の維持に重要な働きをしておるのじゃ。じつは、抗生物質を投与すると小腸のグラム陰性菌がいなくなると、体の免疫力が低下してしまうのじゃ。

サイエンスという科学ジャーナルに昨年の報告には、がんを免疫療法(CpG-ODN+anti-IL10)で治療するときに抗生物質を投与しておくと治療効果が著しく低下してしまうことが示されておる。この免疫療法の効果発現には獲得免疫は関係しておらず、TNF(腫瘍壊死因子)の遺伝子を発現する自然免疫のマクロファージが関係しておるが、抗生物質によって自然免疫力が低下してしまうのじゃ。さらに、制癌剤(オキサリプラチン)と抗生物質を投与しても、がんの治療効果が下がってしまうのだから要注意じゃのう。でも、心配はいらんぞ。LPSを摂取することで、抗生物質の抑制効果を回避することができる、つまり、LPSが腸内細菌の免疫賦活作用を代わってくれることも報告されておる。簡単な解決法じゃ。

ひげ博士

文献: Noriho Iida, et al., Commensal Bacteria Control Cancer Response to Therapy by Modulating the Tumor Microenvironment. SCIENCE 342: 967-970 (2013)

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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