皆さん、ヒゲ博士じゃ。秋は食と運動の季節じゃな。ところで、肉を食べることが運動や美容によいと言われておるが、その理由の一つに、肉に多く含まれるカルノシンやアンセリンなどのイミダゾールジペプチドがあるんじゃ。例えば、鶏むね肉には1223mg、カツオには811mg、牛もも肉には265mg含まれておる(各100gあたり)。このイミダゾールジペプチドには抗酸化、抗疲労、抗老化作用が報告されておる。こうした生体機能を保つ成分は、たいていマクロファージと関係しているものじゃな。そこで、今日は皮膚の老化を防ぐイミダゾールジペプチドの作用が、マクロファージによる老化細胞の貪食を促進することで発揮されるという話を紹介しよう1)。
ヒトの皮膚細胞(HaCaT)を酸化剤で老化させ、それをマクロファージ(PMA(6時間処理))と一緒に培養すると、老化した細胞がマクロファージによって貪食され、除去されることがわかっておる。さらに、カルノシンはマクロファージの細胞内に取り込まれ、AKT2を活性化して貪食関連受容体(CD36、RAGE)の発現を高めることが示されておるんじゃ。PMA処理マクロファージがLPS活性化マクロファージと同様の状態にあることを考えると、カルノシンはLPSの効果を促進する可能性も考えられるのう。カルノシンはコスメとしても使われておるが、LPSを使った化粧品にも相性がいいかもしれんのう。
1) Carnosine Stimulates Macrophage-Mediated Clearance of Senescent Skin Cells Through Activation of the AKT2 Signaling Pathway by CD36 and RAGE. Front. Pharmacol., 2020 doi.org/10.3389/fphar.2020.593832
出典:特定非営利活動法人自然免疫ネットワーク発行ニュースレター