皆さん、ひげ博士じゃ。昔から心臓が悪くなると腎臓が悪くなり、腎臓が悪くなると心臓が悪くなるといわれておるが、東京大学の藤生先生らが心臓と腎臓との相互作用にはそれぞれの組織マクロファージが重要な役割を担っていることを報告している*ので紹介しよう。
全身の筋肉が収縮して心臓から血液が送り出しにくくなる(圧負荷)パワー系アスリートは大きな心臓(スポーツ心臓)を持つことが多い。高血圧症や心臓弁膜症などでも起こるぞ。その仕組は、心臓に圧負荷が起こると神経を介して腎臓(集合管上皮細胞)に伝わり、腎臓のマクロファージが活性化され、そのシグナルが(血管内皮細胞を介して)心臓のマクロファージを増加させる。心臓のマクロファージからアンフィレグリンというタンパク質が出て心筋細胞を増やして心臓が大きくなり、圧負荷に対抗出来る身体を作るということじゃ。長い話じゃが、まとめると『運動(高血圧)→腎臓マクロファージ→心臓マクロファージ→心臓肥大』となる。マクロファージとマクロファージの情報伝達で心臓と腎臓を維持していることを明らかにしたこの論文は、我々が提唱している『マクロファージネットワーク』が存在していることが示している一つの証だと思うのじゃ。
*: Katsuhito Fujiu, et al., Nature Medicine 23: 611-622(2017)
出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター