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ひげ博士のおはなし
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第53回 免疫組織に住む細菌の話

(2020年12月 No.53より)

皆さん、ひげ博士じゃ。ヒトの細胞は37兆個だが、共生細菌は100兆個1000種類もいると見積もられ、その殆どが、腸管粘膜や皮膚、気道などの表面に生育しておる。それだけたくさんの種類の細菌じゃから、中には変わった輩もおる。今日は免疫組織の中に住んでいるグラム陰性細菌を紹介しよう。
アルカリゲネス菌はグラム陰性の鞭毛を有する好気性桿菌で名前の通りアルカリを作る、アルカリ性に強い細菌じゃ。酸を作る菌は酢酸菌や乳酸菌など馴染みがあるが、アルカリを作る菌もいるのじゃな。そして、この菌は腸管免疫で重要な役割を担うパイエル板の内部(体の中)に入り込み、生活するという性格を持っておる(1)。乳酸菌やビフィズス菌はそこにはおらんぞ。そして、この菌のLPSは体のIgA産生を介して健康維持に関わっておるのじゃ(2)。IgAは粘膜獲得免疫の主役ともいえる抗体で、インフルエンザやコロナウイルス感染予防にも力を発揮するので、大事な役割を持っているのじゃ。わしらは体の中に菌を飼っていてLPSを介して健康を維持してくれている、というなかなか面白くもありがたいことがあるのじゃな。

(1) Front Microbiol (2020) doi: 10.3389/fmicb.2020.561005
(2) Mucosal Immunol 11: 2018 693-702 (2018)

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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