NPO法人自然免疫ネットワーク

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ひげ博士のおはなし

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ひげ博士のおはなし
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第25回 受精卵の話

(2013年12月 No.25より)

皆さん。ひげ博士じゃ。マクロファージはばい菌の排除だけでなく、炎症を鎮めたり、キズの再生などもしておる。それだけじゃないぞ、受精して赤ちゃんが生まれてくる間も大事な役割を担っておるのじゃ。胎児の一時期に指の間に水かきが出来るが消えていくのが観察されるが、これもマクロファージが働いておる。今日は、受精卵の着床にマクロファージが必要なことが、オーストラリアのグループの研究により明らかにされたので紹介しよう。

このグループでは、米国で開発された、ジフテリアトキシンという毒素に結合してしまう特殊なマクロファージにしたマウスを使うことで、一時的にマクロファージを消去できるようにしてあるのじゃ。妊娠したマウスからマクロファージを除くと、なんと、子供が出来なかったのじゃな。

この研究では、マクロファージの働きとして黄体を育てる事を見つけておる。排卵すると黄体という卵巣の一部が大きくなり、そこから黄体ホルモンが出て、受精卵が着床できるようにしているが、マクロファージは黄体を大きくしてホルモンが作れるようにしていたのじゃ。マクロファージの役割は異物排除だけでなく、妊娠にも必須で、マクロファージの働きは本当にすごいのう。

ひげ博士

文献: Alison S. Care, et al. Macrophages regulate corpus luteum development during embryo implantation in mice. J. Clin. Invest., 123: 3472-87 (2013).

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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