NPO法人自然免疫ネットワーク

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ひげ博士のおはなし

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ひげ博士のおはなし
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第34回 歯周病菌の話

(2016年3月 No.34より)

皆さん。ひげ博士じゃ。LPSが最も悪者扱いされている業界はなんと言っても歯科領域じゃ。歯周病を引き起こす原因菌として知られている代表がPorphyromonas gingivalisというグラム陰性菌で、このLPSが悪さをしているせいじゃな。確かにこの菌は歯周ポケットにおって歯を溶かすのじゃが、このLPSは歯周病菌の生存戦略に使われていることが報告されておる。そのため、テレビの歯磨きの広告でも、LPSが悪者として扱われておる。しかし、驚くことに、歯周病菌のLPSは一般的なLPSと異なる性格を持っているのじゃ。一般的なLPSはトル様受容体(TLR)-4に結合して免疫細胞を活性化させるが、Porphyromonas gingivalisはTLR-2に結合して免疫細胞を制御し、自分が生存しやすい環境を作っておるのとじゃ。Elia BurnsらよるとTLR-2を欠損したマウスでは歯周病菌がすぐに排除されるそうじゃ。TLR-2といえば、御存知のように乳酸菌などのグラム陽性菌が免疫を活性化する時に主に使われているペプチドグリカンに対する受容体じゃな。つまり、LPSという言葉でも歯周病菌のは全く違ったタイプのLPSなのじゃ。儂の知り合いが言っておったが、悪玉のタイプのLPSと言ってもよいかもしれんのう。

ひげ博士

文献: Burns E, Bachrach G, Shapira L, Nussbaum G. TLR2 is required for the innate response to Porphyromonas gingivalis: activation leads to bacterial persistence and TLR2 deficiency attenuates induced alveolar bone resorption. J Immunol. 177: 8296-8300 (2006)

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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