特定非営利活動法人 環瀬戸内自然免疫ネットワーク(LSIN)

マクロファージと糖脂質(LPS)の最新の話題

第12回
LPSは間質細胞に働いて白血病細胞の増殖を抑制する
(2016年3月 No.34より)

白血病は化学療法が奏功することもありますが、再発や化学療法が効果を示さない場合もあって、現在も尚治療法の難しい血液のがんです。白血病を制御するにあたっては、骨髄の微小環境を修飾することが、極めて有力な治療法になると考えられていますが、骨髄の微小環境は多様性と複雑性があることから、具体的にどの分子に着目するかや、どの細胞に着目するかなどに関しては極めて難しく、今までのところ効果的な方法は見出されていません。

この骨髄の微小環境に着目して、LPSを骨髄の間質細胞と同時に培養すると、白血病細胞に対して強力な分裂抑制作用を示すことが、以下の論文で紹介されています。

Yu L et.al Exp. Cell. Res. 2016 Mar 9. Pii:S0014-4827(16) 30047-7

著者らは、骨髄の間質細胞が白血病細胞に与える影響を調べる目的で、マウスの骨髄性白血病細胞やBリンパ腫細胞を用いて、共培養の方法を用いて白血病細胞の増殖について検討を行っています。骨髄性白血病細胞が増殖するためには、白血病細胞にLPSを単独であるいは骨髄の間質細胞を単独で加えることが必要でした。ところが驚いたことに、間質細胞とLPSを同時に白血病細胞に加えると、骨髄性白血病細胞の増殖が強力に阻害されました。このことはLPSが同時に存在することで、間質細胞の白血病細胞に対する作用を増殖性から抗腫瘍性にと180度転換させることを意味しています。このLPSの機能は間質細胞からIL12やFas Ligandなどが発現することで認められるようになると書者らは説明しています。

著者らは、以上の結果から、LPSは直接効果、あるいはがんの微小環境に働きかけることによって、骨髄性白血病の病状が変化することに繋がると述べています。難治性の白血病に対する治療法が見出されていない中でLPSには抗腫瘍活性が認められる可能性があることを示唆する報告となっています。

 

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター