特定非営利活動法人 環瀬戸内自然免疫ネットワーク(LSIN)

マクロファージと糖脂質(LPS)の最新の話題

第1回
糖脂質の経口投与は確かにマクロファージをプライミング状態に活性化する。
(2013年6月 No.23より)

これまで、糖脂質が健康維持に重要な働きを示す一つの要因は、糖脂質がマクロファージをプライミング状態にするからであると考えてきました。プライミング状態とは、細菌感染など、個体に不都合な状況が生じた場合に速やかにこれに対応できる状態と捉えられます。確かに糖脂質は動物実験で調べると感染予防や抗がん、抗アレルギーなど健康維持に働きます。糖脂質がマクロファージをプライミング状態にするだろうということは、これらの実験事実を踏まえた内容ではありますが、間接的であって、どのような仕組みで糖脂質がマクロファージをプライミング状態にできるかに関しては、証拠はありませんでした。

このことに関連して、J.Immunol 186 279 4467-4473とJ.B.C December 21,2012 as manuscript M112.424390の二つの論文で極めて少量の糖脂質が実際にマクロファージをプライミング状態にする仕組みの一端が報告されています。これらの報告では、試験管内でマクロファージを微量の糖脂質で刺激した場合に何が起こるかが調べられています。通常のマクロファージでは、感染や抗ガンに重要なサイトカイン群の発現は何重もの機構によって抑制されています。この報告によれば、少量の糖脂質によって、この抑制が一部解除されるのです。しかし、一部の抑制を解除しただけでは直ちにサイトカイン群の発現が誘導されることはなく、いわば、何か不測の事態が起こった時に、速やかにマクロファージが反応できる状態、すなわちプライミング状態になる訳です。

この2つの論文は、同じグループによって書かれたものですが、この著者らは、JBCの論文で、このような調節が環境の変化に対して個体が適応して恒常性を維持することにつながっている可能性もあるとも考察しています。

これとは別に私たちは、経口投与した糖脂質が、マクロファージの貪食機能を高めること、そしてそのマクロファージは、上記の論文に記載されたと同様、一部の抑制が解除されていることを最近始めて発見しました。このことは、経口投与した糖脂質は、試験管内での実験と同様に、マクロファージをプライミング状態にすることを示したことになります。今後、糖脂質の経口投与により健康維持が図られるメカニズムについてさらに解明が進むことが期待されます。

 

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター